製品情報


電車線支持物とは・・・

 

皆さんが よく使うであろう鉄道がどのように動いているか考えたことはありますか?

ほとんどは電気を動力源として動いている、ということは予想ができるかもしれません。しかし、どのようにそれが列車へ伝わっているかまでは想像しにくいのではないでしょうか。

電気による列車(以下、電気車とします)で使われる電気の流れは大まかにいうと右図のようになっています。

 

電車線支持物はき電線・電車線のほか配電線などの架線類を支持するだけでなく、パンタグラフによる集電に支障をきたさないよう「電車線の高さと偏位」を一定の範囲に保つという大事な役目をもっています

このため、支持物全体が必要な強度を持つとともに、静的な荷重のほか気温や風などの気象条件の変化による動的な荷重にも耐えなければなりません。また、架線類の水平たわみを所定の範囲に保つのも重要な役割です。

様々な形式や構造がありますのですべてをお伝えすることは難しいですが、製品例を見て興味を持ってもらえたらと思います。

電気車による電気の流れ

電力会社(電気を購入する)

変電所(電気を必要な電圧に変換する)

き電線(※1)を経由して電車線(※2)へ送る

(ここでは電車の上に張ってある電線だと思ってください)

電気車のパンタグラフを通じて列車を動かす

走行用レールを利用して変電所へ返す

(電気はプラスからマイナスへ流れると中学校あたりで聞いたことがあると思います)

 

※1 き電線 → 変電所から電車線に電気を供給する電線。

※2 電車線 → 電車に電気を供給する電線。


引出鉄構

変電所付近にある大きな電車線支持物。

電車線へ電気を供給するき電線を支持する構造物(写真は各線や新幹線など電車線が集まっている)

鋼管柱・鋼管ビーム(単)

鋼管単材を使用した柱・ビーム(☆1)

 

 


鋼管ビーム(方丈式)
鋼管ビーム(方杖式)

鋼管単材ビームの電柱取付部を方杖(☆2)にて強化したビーム。

鋼管単材ビームよりも強度的に優位な為、電柱間隔が長い場所にも設置可能。

鋼管平面ビーム
鋼管平面ビーム

鋼管単材を2本ラチス構造(菱格子のような構造)につないだビーム。

鋼管ビーム(単)、鋼管ビーム(方丈式)よりも電柱間隔が長い場所に設置可能。

標識用角トラスビーム
標識用角トラスビーム

踏切上部に設置する、標識板を支持するビーム。

トラスは三角形を単位とした構造。

 


鋼管ビーム・鋼管ブラケットビーム
鋼管ビームと鋼管ブラケットビーム

鋼管単材を使用したビーム。

写真右側の片やり出しにして支持しているのがブラケットビームを指す。

ケーブル横断ビーム
ケーブル横断ビーム

ケーブルを道路横断させるためのビーム。

 

 


鋼管かご形ビーム

鋼管単材を4本ラチス構造につないだビーム。

鋼管平面ビームよりも電柱間隔が長い場所に設置可能。

 



☆1 ビーム → 梁。電柱に取り付けられ、電車線などを直接指示する役割を持つ設備のこと。一般的には電柱の付属設備として扱われる。

☆2 方杖 → 柱と梁の接続部などの内角に使われる斜めの突っ張り材。


国鉄の支持材加工に始まった東海鋼業は、その時代々々の要求に合わせ様々な電車線支持物を製作してきました。

シントーコーと社名が変わっても創業時の理念は変わりません。

 

電車線路材料はそれぞれ設備により要求される機能や特性があります。材料による共通的なものとしては作業性が良いこと、機械的強さがあること、長寿命であること、経済的であること等です。どこに使用される材料かでさらに様々な特性が要求されることになります。

同じ強度の設備でも設置場所により施工方法の違い、周辺設備の制約による形状の変更があります。従って電車線設備の中でも既製品ではなく、唯一の注文品となる設備であり様々な工夫がなされてきました。 

 

単に機械を使って技術的な改良をするだけでなく、安全面の考慮や新たなるものの開発という創造的な方面に向かってシントーコーはさらに邁進して参ります。

 


参考書籍「図解よくわかる電車線路のはなし」2009年 日刊工業新聞社

著者 大塚節二・猿谷應司・鈴木安男